今度こそは絶対に痩せるんだと意気込んで、炭水化物を減らしたり、食べたいものを我慢して○キロ痩せた!と喜んでいるのも束の間、ダイエット中の我慢からある日また食欲が止まらなくなって食べ続けてしまった…。気付いたら元の体重よりも増えてしまった、という経験はないでしょうか?
なぜ多くの人がせっかく頑張って減量してもリバウンドをし、ダイエットを繰り返し続けるのか。単に意志が弱いだけなのか、その原因とどうすれば痩せた身体を維持できるのかをお話します。
短期間でダイエットした人の1/3が元の体重よりも増加する
海外の調査によると短期間で食事を減らすことで減量した場合、減った体重の3分の1から3分の2が1年以内にはもとに戻ってしまい、5年以内には元の体重に戻ってしまうと言われています。
さらに悲しいことに、短期間でダイエットを行った人の3人のうち1人は、ダイエット前の体重よりも増えてしまう調査まであります。
(参考文献: 米国国立医学図書館「Pathways from dieting to weight regain, to obesity and to the metabolic syndrome: an overview」)
つまり、数週間などで急激に減らした体重の多くは元に戻ってしまい、何度もダイエットを繰り返すことになってしまうのです。
このようなサイクルを海外では「Yo-Yo-Dieting(ヨーヨーダイエット)」と呼んでおり身体的にも精神的にも悪影響を与えることが度々指摘されています。
繰り返すダイエット(Yo -Yo-Dieting)を引き起こす原因
では、なぜ短期的なダイエットはリバウンドを引き起こしてしまうのでしょうか。繰り返すダイエット(Yo -Yo-Dieting)の原因は、身体の正常な反応が関連しています。ここでは主に2つご紹介します。
食欲の増加
食欲は「レプチン」というホルモンが放出されることで抑えられますが、このレプチンは脂肪細胞によって生み出されます。
そして、ダイエットによって身体にある脂肪細胞が減ると、レプチンの放出が抑えられ食欲を誘因することになります。
特に極端な食事制限を行い飢餓状態に陥ってしまうと、生命の危機を感じた身体がなんとかしてエネルギーを補給させようと食欲を過度に増加させ、もはや意志ではコントロールできない状態に陥ってしまう可能性すらあります。
体脂肪率の増加と筋肉量の低下
減量中は脂肪と一緒に筋肉量も低下すると一般に言われますが、脂肪はすぐに付きやすい一方で、筋肉をつけるには時間や努力が必要です。
そのため、減量してはリバウンドを繰り返すと、体脂肪率が余計に増えてしまいます。実際の研究でも、繰り返すダイエットによって、体脂肪率の上昇と腹部脂肪が増加するとの結果が出ています。
また、筋肉量の低下は、通常時のエネルギー消費を少なくしてしまうため、以前と同じ食事量を摂取したとしても太りやすくなる体質にします。
(参考文献:: 米国国立医学図書館 Does weight cycling promote obesity and metabolic risk factors?)
リバウンドは自己効力感(Self-efficacy)にも影響
身体の反応以上に長く影響を及ぼす問題として、自己効力感(Self-efficacy)の低下があります。
「自己効力感」とは、”ある状況下で結果を出すために適切な行動を選択し、かつ遂行するための能力を自らが持っているかどうか認知するための言葉” を指します。
研究によると繰り返しのダイエットを行った経験のある人は、自身の生活や健康に不満を感じており、また自分の体と健康に関して自己効力感が低く、制御不能であると感じていると報告されています。
(参考文献:「Medical, metabolic, and psychological effects of weight cycling」「Psychological effects of weight cycling in obese persons: a review and research agenda」)
食欲をコントロールできないことや、思ったように痩せないこと、そして変わらず減らない体重に対する欲求不満は、ストレスを感じさせます。
そして、食欲を増加させるストレスホルモン「コルチゾール」のレベルを上昇させてしまうのです。
健康的なライフスタイルを目指すことが一番の近道
それでは、率直に痩せるためにはどうしたいいのでしょうか。「ダイエット(Diet)」という言葉は、本来は「食生活、食習慣」という意味です。
日本ではダイエットを一時的な体重を減らすための行動として捉えることが多いですが、一生続くライフスタイルとして見直すことがポイントになります。
具体的には、以下のような取り組みをしてみましょう。
- 健康的な食品を食べる(野菜や果物、ナッツなど)
- ジャンクフードを減らす(時々食べるのはもちろんOKです)
- 心地よいと思える程度の運動をする(ストレッチ、散歩、ジョギング、軽い筋トレなど)
- 十分な睡眠をとる(寝不足は食欲を増加させます)
- 毎日を楽しく過ごす(ダイエットを忘れて好きなことをしましょ
これらのことは当たり前に感じるかもしれません。
頭では分かっていてもすぐに痩せたいという短期的な思考から長期的な思考にシフトするのはなかなか簡単なことではありません。
ですが健康的な食生活を送ることが徐々に体重を減らしていくことに効果があるとの研究もあるように、確実に痩せることができます。
痩せることだけを推奨はしていませんが、今のあなたより美しい身体にそして元気な心になることを保証します。
リバウンドを繰り返さないための新しい第一歩を
食事制限などによる短期的なダイエットは、数年以内に多くがリバウンドするだけでなく、人によっては元の体重よりも増加してしまいます。
そうなると、増えた体重を落とそうと躍起になり、さらに極端なダイエットに走りかねません。
もしこれまであなたが何度もダイエットに失敗してきている過去があるのであれば、一度方法が間違っていたのではないかと立ち止まってみることが重要です。
そして、短期的なダイエットでは痩せることが難しいことを理解し、長期的な視点でライフサイクルの改善を試してみてはいかがでしょう。
もしそれでも改善の兆しが見えないようであれば、また考えれば良いのです。少なくとも同じ失敗を繰り返すよりは大きな一歩に繋がります。
勇気を持ってダイエットのループから抜け出せられますように。
参考記事:Matthew Thorpe, MD, PhD「10 Solid Reasons Why Yo-Yo Dieting Is Bad for You」
筆者も来週にデートがあるから絶対に痩せなきゃ、とか今の太った醜い姿じゃ生きていて楽しくないからすぐにでも痩せなければいけない、という思いに長年苦しめられていました。
ただ、Yo-Yo Dietingのことなどを知り振り返ってみると確かに10年以上ダイエットが上手くいった試しがなかった、というのに気付いて、であるならば急激なダイエットをやめよう、という決意をすることができました。
ちなみに、ダイエットの広告では1ヶ月に5〜8キロ痩せるなど、短期間で体重を落とすことを謳うものが多いです。
しかし、それらのほとんどが実際には痩せることなどできずむしろ太ってしまうといったことが大半だと思っています。
なぜなら何十年経ってもそのような広告は増え続けるばかりですが、つまり痩せることを継続できている人は少ないのです。
余談になりますがダイエット業界の市場規模は2兆円とも言われています。この事実からもダイエットに疑問を持ってもらえると嬉しいです。
コメント