”痩せたいのに食べてしまう”、そのようなことはありませんか?美味しいものはたくさん食べたい、でも痩せたい!というのが人間の常です。そんな欲ばかりは叶わないと頭ではきっと分かっているはずです。毎日そのような葛藤の中でダイエットを始めたものの続かなかったり、自己嫌悪に陥ってしまう方もいるかもしれません。
実は”痩せたいけど食べたい”は、両立させることができます。本記事では、なぜ普段痩せたいのに食べてしまうのか、そしてそれを両立させるとっておきの方法をご紹介します。騙されたと思って一度目を通す価値ありです。ではいきましょう。
なぜ痩せたいのに食べてしまうのか
ダイエットを決意したあなたは、1日の食事の内容や摂取カロリー、夜は何時までに食べるべきなのか、色々と作戦を練ります。大好きなケーキもしばらくはお預けです。しかし、そんな時に限って、家族がケーキを買ってきて自分の横で美味しそうに食べています。ダイエット中にこんな光景にあれば、いつも以上にケーキが羨ましくなることでしょう。
「シロクマ効果」というのをご存知ですか?皮肉過程理論と呼ばれるもので、人は「何かを考えないように努力すればするほど、かえってそのことが頭から離れなくなる」という現象が起こります。
とある心理的な実験において、複数のグループに分けて、シロクマの同じ映像を見せます。映像が終わったあとに、「シロクマの事を覚えておくよう」と一つのグループに指示、一方でもう一つのグループに「絶対に考えないで下さいと言う」指示しました。すると後者の考えないで下さいと指示したグループの方が、映像についてよく覚えていたという皮肉な結果が証明されたのです。(出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
つまり、人は何かを禁止されればされる程、そのことを思い出すようにできており、同じことがダイエットにも言えます。ダイエット中に食べてはいけない、と思えば思うほど、頭の中はたくさん食べたい!と食べもののことばかりに支配されます。
禁止食材を設けるほど食欲は増加し、罪悪感の原因にも
さらに、食べてはいけない、いわゆる「禁止食材」を設けることで、頭は余計にそれら食材のことばかり考え、いつも以上に反応するようになります。
例えば、多くの人がケーキ、菓子パン、ポテトチップス、ジャングフード、白米、小麦後・・・など、いかにも太りそうなものを食べないように決めます。しかし、皮肉なことにも、食べないよう常に監視するために、頭の中は禁止食材でいっぱいに。
ではここで、ケーキを頭に思い浮かべてみてください。美味しそうなチョコレートケーキで生クリームもたっぷり添えてあります。さっきまで何も考えていなかったのに、想像するだけで食べたくなりませんか?
そうです、頭で考えるとそれが食べたくなるのです。反対に夢中になって何かをやっている時などは、食べ物を食べたい!という気持ちもあまり出ませんよね。
つまり、ダイエットを決意し、食べものをあれもこれも食べてはいけない!と思えば思うほど、あなたの食べたいという気持ちは強まります。その結果、ダイエットというストレスも相まって、我慢ができなくなったあなたは食べてはいけない禁断の食べものに手を出してしまうのですね。
しかも、悪いことに、大概我慢の限界は夜に訪れます。あんなにも22時以降は食べないと決めたのに太りそうな22時以降に。そして、一口でも食べてしまったあなたは、食べてしまったことによる罪悪感を感じます。
罪悪感の感じ方は人それぞれですが、自分に厳しい完璧主義な人ほど、とことん落ち込み、自分を嫌悪します。完璧主義と同時に白黒思考を持つ人の場合、もう一口食べてしまったのだからダイエットは失敗で明日から上手くやろう、そして今日は好きなだけ食べてやると投げやりになり、過食に走るなんてこともあります。
過食してしまったあとは、明日から食べない事を強く決意します。もうお分かりかと思いますが、強く決意すればするほど、食べたい気持ちはどんどん増します。
そして、食べないと決意→食べてしまって罪悪感を感じる→罪悪感(ストレス)から暴食する→また食べないと決意→禁止食材への執着を増しながら負のループにハマります。
ダイエットをやめると痩せる
痩せたいけど、ダイエットしてはいけない・・・ではどうすればよいのでしょうか。結論は、ダイエットをやめることです。ダイエットというのがそもそも人間の脳や身体、そして心に反した仕組みになっているからです。詳しくは、夏目祭子さんの著書「ダイエットやめたらヤセちゃった」もぜひ読んでみてください。
ダイエットをやめるということは、ダイエットのことを考えないことになります。ダイエット中はあれもダメ、これもダメと禁止事項で頭がいっぱいだったものから全て解放されるのです。そうすると不思議なことに、日々の生活の中で、食べ物のことを考える時間が減ります。考えなければそれを欲しくなることもありません。
もちろん、ダイエットをやめて好きなものを好きなだけ食べたら痩せるどころか太ってしまうのでは、という恐怖を感じるかもしれません。ただ、特に何年間もずっとダイエットに失敗してきた方は、一度自分に問いかけてみてほしいです。
これまでダイエットが上手くいったことがありましたか?思う通りに痩せてそれを維持できていますか?
おそらくこの記事を読んでいるということは、ダイエットは成功しなかったのではないでしょうか。
それならば、一度ダイエットをやめる、というのを試してみませんか?筆者は10年以上ダイエットに苦しんでいた過去があり、これ以上ダイエットを繰り返しても希望が見えなくなってきたタイミングで、ダイエットをやめることに賭ける決意ができました。
では、ダイエットをやめる、とはどういうことなのでしょうか。つまり、どうやって食事を摂取していけばよいのでしょうか。これまで厳しく食事の内容から摂取する時間やカロリーなどを決めてきた人ほど、分からないと思います。
本来の食欲に従って食べれば太らない
ダイエットしなくても太らない、痩せる食べ方は実はとてもシンプルです。お腹が空いたら食べる、お腹が空いていないなら食べない、ことです。これを実行すると自然と「食べたい時に食べて、食べたくない時には食べない」ということができるようになります。つまり、好きなものを食べて痩せるというのが叶うのです。
そして、空腹という本能に従うことは、実は食欲の暴走とは無縁なのです。夏目祭子さんの著書「太らない人のヒミツ」では以下のように述べています。
本来の食欲とは、体がを外からの栄養補給を求める本能的な欲求のこと。 (略)
引用元:夏目祭子著「太らない人のヒミツ〜腸で考え・脳で感じて・美力を目覚める〜」
本能には適切な量だけを求める節度があるのです。それに対して、本能が求める量から外れて、むやみに食べ過ぎたり、逆に食べなさ過ぎたりするのは、頭であれこれ思いめぐらし過ぎて、本能のサインを歪めてしまう知性のせいだといえるでしょう。つまり、暴走するのは本能じゃなくて知性のほうなんです。
赤ちゃんや小さい子供は、親がいくら食事を与えても、お腹がいっぱいになると、それ以上食べてくれません。自然界の動物に肥満がいないのも本能に従って必要な分だけを食べているからです。
ただ、私たちは大人になるといつの間にか本能ではなくて、頭で食べるようになっていきます。お腹は空いているけれど太りそうだから食べない、逆にお腹は空いていないけど朝食は食べなければいけない、22時以降は太るから我慢しよう…など、いろいろな情報によって徐々で食べる食べないの判断軸が頭で考える知性の方になっていきます。
長い間頭で考えて食べてきた人とっては、そもそも空腹ってどんな状態だったか思い出せない人もいるかもしれません。
ではどうやって空腹の感覚を取り戻すのか、最後に紹介します。
空腹に従うことで、”食べたいけど痩せたい”が叶う
今自分が空腹の状態にあるのかを知る方法も実はシンプル。お腹がぐ〜っと鳴ったら食べていいサインです。もちろん鳴る前でもご自身の生活リズムやお腹の空き具合によって食べて構いません。ただ、空腹の感覚を取り戻すには一番わかりやすい方法です。
筆者も数年来ダイエットで極端な食事制限をしていたことで、全く食べないか、暴食するかのような二択になってしまい、空腹の感覚が何かわからなくなっていました。しかし、お腹が鳴ったら食べる、というのを実践していくうちに本来の食欲をまた取り戻せるようになってきました。
そして、一番驚きだったのが、空腹状態で食べるごはんの美味しさです。最初は自分の食欲が暴走してしまうのではないかという心配もありましたが、空腹になってから食べるようにすることで、お腹がいっぱいになるにつれて、いくら美味しい食べ物でも美味しいと思わないようになり、自然とお箸を止められるようになりました。
そうなっていくと無理して食事制限を行なっていた時よりも、摂取する量も減るなんてこともあります。なぜなら不足していたエネルギー分を摂取しようとするので、1日中家にいればいつもよりお腹は空かなかったり、前日に食べ過ぎてしまうと翌日はお昼を過ぎてもお腹が空かずに、夕方からようやくご飯を取るなんてことも。「食べ過ぎたから自制しないといけない」と頭で考える必要はなく、身体が勝手に調整をしてくれるのです。逆に沢山動いた日はいつも以上にたくさん美味しく食べることができるでしょう。
少しずつ自分のペースに合わせていけばいい
空腹に従って食べることに慣れてきたとしても、時には空腹の有無に関わらず食べることやお腹がはち切れそうなほど食べてしまうことも往々にあるでしょう。特に、旅行中やお祝い事などの時は身体が必要とする以上の食事を取ってしまうかもしれません。でもそれはそれでよいのです。やはりここでもポイントなってくるのが”長期的に痩せる”という考え方です。
身体に必要な栄養素だけ取っていけばもちろん生きてはいけますが、私たち人間は日頃ストレスを感じながら生きています。時には嫌なことがあって沢山食べることでストレスを解消しようとすることもあるでしょう。決してそれはいけないことではなく、心に栄養を与えるために必要なことでもあります。
なのでポイントとしては、基本的なスタイルとして、お腹が空いたら食べるようにするけれど、たまに食べ過ぎてしまっても大丈夫。そこで、また焦って無理な制限を意図的にしようとせずに、食べ過ぎてしまったけれど、そのうち身体が調整してくれるから、また空腹に従って食べるようにしよう、と気楽に構えることです。
筆者もストレスを感じると食に手を伸ばしてしまうタイプで、日頃から食べ過ぎ、太ってしまったなと感じることがあります。そんな時は食事制限をしたくなりますが、グッと堪えてあと2週間、1ヶ月様子を見てそれでも太っていると思ったらダイエットしようと考え、自然な食欲に従って食べ物を摂るようにしています。すると不思議なことに大体それくらいの期間を開けると太ったと感じていたお腹周りもまた元に戻ってきていることが多いです。
ここで、元のきつい食事制限をしてまた挫折→暴飲暴食に入ってしまう、というループにハマるよりは、確実に太らないです。
また、食べる時間もいつでも構いません。寝る前は太ると言われますが、どうしてもお腹が空いていたら食べてもいいのです。ただ筆者の経験上は、寝る前に食べると翌朝胸焼けをしてしまうことが分かり、結果的に寝る前はお腹が空いても消化の良いものをチョイスしたり、温かい飲み物で一旦誤魔化して寝るようにしています。
結果的に寝る前に食べないという行為は同じですが、理由に大きな差があります。以前は太ってしまうという恐怖から食べないというネガティブな理由でしたが、今は食べない方が身体を快適な状態に保てるというポジティブな理由です。
ネガティブからの行為は必ずストレスを生むので、夜何とか我慢できても翌朝過食に走ってしまうということにもなります。
また、近所に美味しそうな唐揚げ屋さんがあり、時々たくさん買って食べてしまうこともあります。すると翌日胃が少し気持ち悪くなってしまい、そんな時は食べ過ぎて太ってしまうという恐怖からではなく、単純に胃を休めたいという気持ちから、野菜だけで済ましたりすることもあります。
ぜひ読者の皆様には、時間をかけて自分がなるべく快適に毎日を過ごすための食事の取り方を見つけていってもらいたいです。
本来、食事は楽しむもの
ダイエットのことは一旦忘れて楽しく毎日を過ごすこと、これが健康的に痩せるための一番の近道です。
ダイエット中の頭の中には、実は食べもののことでいっぱいです。さらに、人は制限されるとかえってそれらが欲しくなるので、ダイエットで食事を制限すればするほど、あなたは空腹に関係なく食べ物を強く欲してしまうようになります。
まずはダイエットをやめること、そしてお腹が空いたら好きな食事を摂りましょう。”食べたいけど痩せたい”の根底には、好きなものを食べたら太る、という考えがありますがそれは誤りです。
もちろん野菜や果物など、身体に良いものを摂取した方が健康のためにはなりますが、甘いものやジャンクフードであっても、食べたいときはとことん美味しく味わいながら食べて良いのです。
何を食べたら体調が良くなるのか、一度にどれくらい食べても平気なのかなどは、生まれつきなどの個人差がとても大きいので、少しずつ身も心も快適になるような食べ方のコツを掴んでいってくださいね。
ダイエット文化では食べ物が悪に捉えられてしまいがちですが、食べ物は本来、私たちが生きていくために必要な栄養素を摂るものであって、さらに、食事を楽しむことは人生を私たちの人間関係を豊かにしてくれるとても素敵なものです。
ぜひ、美味しく食べて、人生を楽しみましょう!
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